【特別インタビュー】
経済産業省の医療・福祉機器産業室長に「医療機器業界のこれから」をインタビュー
富原早夏さん③
医療機器産業のこれから
政府が打ち出している医療機器開発の発展に向けた政策において、その中心人物として重要な役割を担っている経済産業省 医療・福祉機器産業室長の富原早夏さんへの特別インタビュー。
前回は「日本が抱える課題と、そこで求められる医療機器のあり方」を、前々回は「医療機器産業の動向や経済産業省が取り組もうとしている政策の概要」を伺いました。最終回となる本記事では医療業界に携わるうえで大切にすべきことや就活生へのメッセージを語っていただきます。
【今回お話を聞いた人】
経済産業省 医療・福祉機器産業室長 【※肩書は取材時】
富原早夏さん
東京大学大学院薬学系研究科卒業後、同年より経済産業省に勤務。経済産業政策課、産業人材政策参事官室、産業再生課、省エネルギー・新エネルギー部政策課、ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院留学、アジア大洋州課を経て、平成27年にヘルスケア産業課(総括補佐)。本年7月より現職。
さまざまな技術が求められる。医療機器産業は今後もっともワクワクする領域
――これまでお聞きしたお話を踏まえ、今後医療機器産業ではどんな変化が求められるのでしょうか?
富原さん「少子高齢化で労働人口が減少するなか、国民一人一人の健康を底上げするためにはIoTやAI、AR、VR、ロボット、センサー、ビッグデータ、クラウドといったさまざまな要素技術の活用が求められます。例えば、最先端のVR技術でエンターテイメント業界を牽引しているアメリカのある企業は『ゲームの次はヘルスケア』と、医療機器産業に参入し始めました。これからの医療機器は、従来のメーカーが持つノウハウに加え、全く別業界の知見も交わる新たな『医工連携』の促進が期待される、今後もっともワクワクする領域だと思います。」
幸せな“原風景”を思い描く
――医療機器産業に携わるうえで大切にすべきことはありますか?
富原さん「医療機器産業は、歳を重ねても自分らしく暮らすうえでなくてはならないもの。だからこそ『自分はこういう幸せな老い方を日本で実現したい』という“原風景”みたいなものをイメージしながら、それを叶えるためにはどうしたらいいのかを考えることが大切だと思います。単純に医療の質が上がるということにとどまらず、『一人一人が歳を重ねても自己実現できる』とか、『生きがいを持って生活できる』とか、目指す先が“幸せ”だというところがこの仕事の素晴らしさでもありますね」
就活生に向けてのメッセージ
――それでは最後に、この記事を読んでいる就活生に向けてメッセージをお願いします。
富原さん「はい。メッセージの前に、以前私がアジアで働いていた時のお話を……。アジア諸国は、日本の企業から自動車産業というビジネスを学んできました。そこで、現地の人に『自動車産業の次に今後日本から学びたいものは何ですか?』と聞くと、『医療機器産業』や『介護』という声がとても多いのです。幸せな老い方を考え、医療機器産業の在り方を考えた時、どの国よりも答えを持っているのは、世界一の長寿国であり、世界一高齢化が進んでいる我が国日本なのかもしれません。アジアや世界が日本のこれからの医療機器産業を注目しています。
ですので今後数年、業界が大きな転換期を迎える中、ぜひこのタイミングで医療機器業界に飛び込んできてください。経済産業省も厚生労働省やその他公的な部門と連携をしながら環境整備を進めていきます。」
全3回にわたってお届けした経済産業省 富原早夏さんのインタビュー記事。いかがでしたか?最後の力強いメッセージからは、医療機器産業を日本全体で盛り上げようとしていることがとてもよく分かりました。
他の記事をまだ見ていない方は、ぜひ併せて読んでみてください。医療機器業界に興味を持っているあなたにとって、多くの気付きになるはずです。
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