【就活生×医療機器 クロストーク】
Vol.2 レポート ②

【就活生×医療機器 クロストーク】<br>Vol.2 レポート ②

これからの社会を生き抜くために

医機なびが企画する、学生と医療機器業界で働く若手社員の交流の場「就活生×医療機器 クロストーク」前回「私たちが医療機器業界に就職した理由」に続き、今回もクロストークの様子をレポートします。

【参加していただいた企業の社員】

 

高橋 宏美(たかはし ひろみ)さん

会社:株式会社日立製作所

入社年度:2015

所属部署:グローバルエンジニアリング本部 ビジネス推進部 事業推進グループ 技師

学生時代の専攻:電子通信工学

現在での業務:粒子線治療システムの拡販、案件組成および事業推進

 

 

辻 和也(つじ かずや)さん

会社:日機装株式会社

入社年度:2014

所属部署:メディカル事業本部 メディカル技術センター 技術部 第三グループ 副主任

学生時代の専攻:情報科学研究科 システム工学専攻

現在での業務:海外向け人工透析装置のソフトウェア設計(仕様検討、実装、検証)

 

 

橋場 恵美(はしば めぐみ)さん

会社:サクラファインテックジャパン株式会社

入社年度:2017

所属部署:マーケティング部 プロダクトマーケティンググループ

学生時代の専攻:農学部 海洋生物科

現在での業務:担当商品の営業企画(販売戦略の立案、実施)や市場調査・分析、新商品の企画など

 

 

座長・進行役
昌子 久仁子(しょうじ くにこ)さん
所属:公益財団法人医療機器センター 上級研究員
職歴:元 テルモ株式会社 取締役 常務執行役員

 

※所属、肩書は取材時

医療に関する知識がなくても飛び込める?医療機器業界の仕事のやりがい

 

今回事前に参加する学生さんにアンケートを取ったところ、過半数以上が医療機器業界で働くことに対して、「敷居が高そう」と感じることがわかりました。そして、やはりクロストークの中でもこんな質問があがりました。

――みなさんは医療業界に就職するために何か特別な医療系の技術や知識を勉強しましたか?

高橋さん「私は大学で電子通信工学を学んでいたので、技術系の専門知識はある程度ありましたが、医療に関する知識は“ゼロ”でした。セミナーに参加したり、設計や医師の方に積極的にお話を聞いたり、入社後に技術や知識を身に付けていきました。」

 

 

辻さん「僕も同じで、学生の頃は透析装置(※1がどんなものなのかもはっきり理解していませんでした。内定が決まってから勉強を始め、入社後に腎臓の仕組みから透析装置の機能まで丁寧に教えてもらえたので、『医療に関する知識がない』という点で困ることはなかったと思います。」

 

 ※1:透析装置

 腎臓の機能が悪くなった方が使う装置。血液のなかの老廃物や余分な水分を除去する

 

昌子さん(※以下座長)「お2人が話したように、医療機器業界は各社それぞれ教育プログラムがしっかりしていて、人体構造から教えてくれるような企業もあります。医療に関する専門的な知識のない人でも、3ヶ月から半年ほどの期間でゼロから学べるので心配しなくて大丈夫ですよ。」

 

他にも、営業職に興味を持つ学生さんからはこんな質問が。

――医療機器の営業職はとても難しそうなイメージがあります。実際のところいかがでしょうか?

橋場さん「医療機器業界の営業の特徴は、営業先が基本的に病院をはじめとした医療機関であるということ。自社商品に関連する分野の専門的な知識は必要ですが、医師をはじめ医療現場で働く皆さんは親切に教えてくださる方ばかりですので、現場で勉強しながら成長していけます。また、弊社の製品をご使用いただいている医療機関に継続して訪問するので、いわゆる“飛び込み営業”ではありません。お客様との関係も深くなり、一緒に医療業界を支えているパートナーという感覚で仕事と向き合えます。」

 

 

専門的な知識がない状態からでもチャレンジでき、医師の方とも密接に関わりながら徐々に活躍の幅を広げられる医療機器業界。実際に働き始めると、どんなときに楽しさややりがいを感じるのでしょうか。それも学生さんにとって気になるポイントです。

――医療機器業界で働いていて、どんなときに“やりがい”を感じますか?

辻さん「自分が作ったものが、『患者さんの役に立っている』と実感できたときですね。1年ほど前、中国の病院に訪問する機会があり、開発に携わった装置が現地でどのように使われているかを見学することができました。そのときは、自分が学んできた技術が『海外でも役に立っている、命を支える手助けになっている』と実感でき、この仕事のやりがいを感じましたね。」

 

高橋さん「医療というテーマそのものが人の命に直結するので、やりがいは常に感じますね。医師から厳しいフィードバックを受けることもありますが、その期待に応えると、多くの命が助かる、または予後(※1を良くすることができます。機器によって医師の手間を減らし、生産性を上げることで、病院経営にも貢献できます。」

 

 ※1:予後(よご)

 病気や手術の後、どの程度回復するか見通しを指す言葉。 「予後がよい」は後遺症などもなく回復していくこと、「予後が悪い(不良)」は、死亡、または重い後遺症を残すケースが少なくないことを指す。

 

医療機器業界の職場環境とは?これからの社会を生き抜くために求められるマインド

今回ご参加いただいた社員さんは3名中2名が女性。「女性の働きやすさ」という点にも話が及びました。

 

 

――お二人のように医療機器業界で活躍している女性は多いですか?

橋場さん「弊社は全社員のうち女性が約4割と、たくさんの女性が活躍しています。産休や育休を経て復帰している先輩もとても多いですよ。中には、時短勤務(※2で家庭と仕事を両立している人もいて、多様な働き方が認められています。」

 

 ※2:時短勤務

 所定労働時間6時間以内・出社時間を遅らせる・退社時間を早めるなど、1日の労働時間を短縮して勤務できる制度。子育てや介護など、通常の勤務時間で働くことが難しい人たちを支える制度として利用されている

 

高橋さん「私も転職するときは『女性が働きやすいかどうか』という点をひとつの指標にして、良くリサーチして会社を選びました。弊社の場合、割合として女性が多いわけではありませんが、特別働きづらいと感じたことはありません。逆に男性でも育休を取る人もいますし、年間の休日の日数も多めだったり、性別を問わず全社員が心地よく働ける環境だと思います。」

 

働き方が変化しているのは女性だけではありません。また、医療機器業界に限ったことでもありません。

企業と働き手の関係性そのものが変わる中、就職活動に不安を感じている学生から、社会人の先輩にこんな質問が投げかけられました。

――最近では「終身雇用」がなくなるかもしれないとささやかれていますが、働くうえでのモチベーション、または何か意識していることはありますか?

 

辻さん「会社に“雇われている”という意識でいると、自分の人生は会社の行く末に左右されてしまいます。私の場合、若手であっても従業員として働く以上は『自分が会社を支えている』という気持ちで責任感を持って仕事に取り組んでいます。」

 

座長「私は先輩から教えてもらったことですが『自分自身が市場でどれだけの価値があるのか』ということを意識していました。技術や人間性など、何かひとつでも “武器”があれば、自分の将来の選択肢を広げられます。『個を確立する』という意識も大切かもしれません。」

 

仕事の核心に迫る話が語られ、クロストークは終盤に。

 

レポートは「③」では、先輩から学生さんたちへのメッセージや学生さんたちの感想をご紹介します。

お楽しみに!

 

 

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