【特別インタビュー】
営業職の女性インタビュー①
誇りと自信が芽生える仕事。医療機器メーカーの女性営業が考える「やりがい」とは?
「大変そう」
「忙しそう」
「敷居が高そう」
などなど……医療機器営業という仕事に、なんとなく上記のようなイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか?知力はもちろん、体力も求められそうで、人によっては「自分には向いていないんだろうな」と思ってしまう仕事といえるかもしれません。
しかし、実際に営業として医療機器メーカーで働く方々は、自分たちの仕事をどのように捉えているのでしょうか?
現在医療機器業界で営業として働く二名の女性にインタビューをしてきましたので全3回にわたってお届けいたします。
今回は、医療機器営業のお仕事内容・やりがいなどについて聞きました。
【今回お話を聞いた人】
左:医療機器メーカー 消化器系製品 営業
下田 悠さん
右:医療機器メーカー 循環器系製品 営業 シニアアカウントマネージャー
田中 美幸さん
手術にも立ち会う、医療機器営業の仕事とは?
――まず、お二人の業務内容について伺いたいのですが、医療機器営業とはどのような仕事なのでしょうか?
下田さん「私は外科のドクターに、手術などで使う機器を販売しています。担当しているのは、電気メスや縫合器(切離と縫合を同時におこなう医療機器)です。機器の使い方をドクターに説明したり、法令の範囲内で、手術に立ち会って機器に不具合がないか確認したりもしています。製品を売るだけでなく機器の専門家としてドクターをサポートするような業務です。」
田中さん「私も下田さんと同じく、ドクターへの医療機器の販売が基本業務です。担当しているのは、冠動脈という、心臓に栄養を送る血管を内側から治療するための機器です。心筋梗塞(しんきんこうそく)・虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)・狭心症(きょうしんしょう)などの治療に使われる医療機器で、ドクターへの取り扱いの説明や手術時の情報提供などもおこなっています。」
使い方の説明や手術時における情報提供など、機器に関わる様々な業務を担当するのが医療機器営業の特徴。万が一機器に不具合が出たり、使い方をドクターに正確に伝えられていなかったりすると、患者様の命に関わります。医療機器の営業は、プレッシャーと大きな責任が伴う仕事なのです。
誰かの命や幸せに携わる、自分の存在意義を強く実感できる仕事
――専門性が高く、責任も大きな業務の中で、お二人はどのようなときにやりがいを感じますか?
下田さん「患者さんの人生や命に関わっているということが、この仕事のやりがいに繋がっています。
医療機器メーカーの責任として、手術中に機器に関する情報を適時に提供することを目的として手術に立ち会うことを、私たちの業界では立会いと呼んでいますが、以前、私が販売した縫合器を使った直腸がん手術に立会ったときに、自分が携わっている仕事の重要さを感じたことがあったんです。がんを摘出した後に、腸と腸をつなぐために縫合器を用いるのですが、もしも私の使い方の説明が不十分だったら、患者様は術後に障害を背負う可能性もあるし、最悪命を落としてしまう可能性もあるんだと、ふと頭をよぎったんです。当たり前のことなんですが、そのときに『すごく重要な仕事に携わっているんだ』と強く感じました。」
田中さん「私も下田さんと似ていて、患者様やご家族の幸せに直結しているという部分にやりがいを感じます。手術の立会いの際には、ドクターから機器の操作方法の確認や、スペックに関するさまざまな質問が飛んできます。その質問のひとつひとつに瞬時に答える必要があるため、学ばなければならないことがたくさんあります。
また、知識を付けるだけでなく、わかりやすく説明するためのコミュニケーション力も必須です。非常に緊張感のある仕事で、客観的に大変な仕事だなと感じているのも事実です。ただ、私たちが答えた質問の先には、患者様やそのご家族の幸せがあります。
人の幸せに直結するというのは時に重圧になるのですが、その分、自分の存在意義を強く感じられるお仕事だと感じています。」
下田さん「ドクターでも看護師でもない営業が、医療のような人の命に関わる医療現場に関わることってあまりないと思うんです。そういう意味ですごく特殊な仕事ですし、田中さんが言うように大変なことはたくさんあります。
大変な分、やりがいや価値のある仕事だと思っていて、手術の立会いなどを通して自分が販売した機器が人の役に立っているというのが直感的にわかります。だからこそ、大変だけど『自分がやらなければ』という意識が芽生えますし、手術が成功したときは例えようのない充実感に包まれます。」
学び、成長する喜びを実感できる仕事
責任の大きさゆえに感じられる、存在意義や充実感。医療機器営業という仕事のやりがいが少し見えてきた気がします。しかし、それだけではなく「学ぶ喜びや自分の成長を実感できること」も、医療機器営業のやりがいのひとつと田中さんは話します。
田中さん「私は医大でも薬科大でもない普通の大学出身だったので、医療に関する知識はまったくありませんでした。医療機器と聞いてもメス・鉗子(カンシ)・糸・針くらいしかイメージできないレベルで、まったく無知だったんです。入社してから、病気のこと・治療方法のこと・治療に利用する機器のことについて学んでいった訳なのですが、これがとてもおもしろかったんです。
病気・治療・機器について学んでいくことで、点だった知識が面となり、少しずつ身に付いていくのがわかりました。また、先程もお話した通り、ドクターの相談にすぐに返答しなければならないため、インプットとアウトプットの回転が早く、成長を実感しやすいのです。『わからなかったことがわかるようになる』というシンプルな喜びを繰り返し感じられるのは、医療機器営業のやりがいだと思います。」
医療機器業界は、日進月歩で技術が刷新されていく世界。立ち止まることなく、いつまでも学び成長する喜びを実感できます。成長意欲の高い人や知的好奇心の強い人にとっては、とてもやりがいのある仕事だと言えるでしょう。
医療機器営業は、女性に誇りと自信を芽生えさせる
日々の業務の中で存在意義と成長を実感できる環境は、人をまぶしく輝かせます。下田さんは、同業種の女性とコミュニケーションを取ったときに、そのことを強く感じたとのこと。
下田さん「同業種の女性営業が集まる、セールスネットワークという集まりがあったんです。そこでコミュニケーションをとった女性たちが、みんな自分の仕事に誇りと自信を持っていて、キラキラ輝いて見えました。
信頼が大切な仕事でもあるので、みんなスーツもパリッと着こなしていて、とても素敵でした。自分もこの人たちの仲間なんだと感じ、この仕事をしていてよかったな、いい仕事だな』としみじみ感じましたね。」
田中さん「『医療を通して人の幸せに貢献している』という充実感と『学び成長する喜び』を常に実感できる仕事だからこそ、誇りや自信が持てるのだと思います。
医療機器営業は、簡単な仕事ではありません。だからこそ得られるものは大きいですし、業務の中でやりがいを見つけられるとても素敵なお仕事だと感じています。」
誇りを持って仕事に向き合っているお二人の話を聞ききながら、医療機器業界の営業職は難しさ以上に「成長を実感できる・知的好奇心が満たされる・人の幸せに関われる」などのやりがいや魅力に溢れたお仕事なのだと感じました。
次回は、「仕事と家庭の両立」について、お二人にお話を伺います。
お楽しみに!
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