【社員インタビュー】
医療機器メーカー経験者インタビュー③
医療機器業界に携わる設計者のとある一日
医療機器メーカーで6年間勤務していた相宮直紀さん。
前回は「医療機器業界の仕事やりがい」について、前々回は「就職活動で医療機器業界を選んだ理由」について語ってもらいました。最終回となる本記事では、相宮さんが医療機器の製造に携わっていた設計者としてどんな仕事をしていたのか、とある1日のタイムスケジュールを例に医療機器業界で働く人のライフスタイルに迫ります!
【今回お話を聞いた人】
公益財団法人 医療機器センター 医療機器産業研究所 情報基盤室 主任
相宮 直紀さん
理系の4年制大学を卒業後、平成21年度に新卒で医療機器メーカーに入社。6年勤めた後、公益財団法人 医療機器センターに転職し、現在に至る。
医療機器設計者のとある1日のスケジュール
8:00(出社)
・作業着に着替えてラジオ体操・朝礼
8:30
・メールチェック・設計図の確認・作成
10:00
・休憩
10:10
・設計図の確認・作成、資料作成など
12:00
・社員食堂で同部署のメンバーと昼食
12:40
・金型のメンテナンス
15:00
・休憩
15:10
・金型のメンテナンス
16:00
・打ち合わせ
17:00 (退社)
デスクに向かう時間と体を動かす時間。メリハリの効いたワークスタイルで着実に自分の成長を実感
相宮さんは新人研修を終えた後、製品を製造する自社工場に配属され、金型の設計を行っていました。開発者から依頼を受けて製品の基本設計図面をもとに各部品の金型を設計するのが主な仕事。そのほかに、金型の製作を業者に依頼したり、仕上がった金型で実際に部品を作成したり、使っている金型のメンテナンスをしたり、さまざまな業務が発生します。
マルチタスクを抱えながら、相宮さんは常にベストなパフォーマンスを発揮できるよう、一日の業務スケジュールに気を配っていたようです。
相宮さん「メールチェックからはじまり、設計図の確認や資料作成など、デスク作業は頭が冴えている午前中に片付けていました。
お昼の後は頭がぼーっとしまうこともあるので、金型のメンテナンスなど、工場で体を動かす作業を行なっていました。
大きな金型をクレーンで操り、油塗れになりながら寸法を確認するようなこともあり、意外とハードな作業もありましたね」
「設計」という無機質に思える仕事ですが、実際は経験がものいう作業。日々の業務のなかで実績を重ね、成長を実感する瞬間も多くあったのだそう。
相宮さん「医療機器は製品ごとにさまざまな素材が使われています。射出成型を利用して製品を作るとき、素材によって収縮率というものが異なるため、そこを加味して設計をする必要があります。
収縮率をうまく設計に反映できないと、設計図通りの製品ができないんです。精度の高い製品を生み出すためには、素材の性質を踏まえ、大量生産に耐えられる金型を作ることが重要です。
経験が浅いうちはなかなかうまくいかないこともあり苦労をしましたが、経験を重ねるごとに設計の奥深さを知り、金型の精度や製作効率の向上に繋がっていきました。そして上司から評価をいただけたときに、自分自身の成長を強く感じました。」
設計者から転職した理由。医療機器業界の魅力を多くの人に伝えたい!
医療機器の設計者として6年間勤めた相宮さん。周囲からもさらなるキャリアアップを期待されるなか、公益財団法人 医療機器センターに転職をして全く新しいキャリアをスタートしました。
相宮さんがセカンドキャリアとして選んだのは「医療機器を作ること」ではなく、「医療機器業界の魅力を伝えること」。
最後に、転職を決断したときのことや、現在の想いについて聞いてみました。
相宮さん「設計者としての実績を積んだ結果、会社から海外赴任のお誘いをいただいたんです。確実にキャリアアップにつながる有難いお話でしたが、一方で父の病気もあって両親がそのような年になったのだと実感し、家族のそばにいたいという想いが心にありました。海外での経験も大変貴重なものになると思っていましたが、日本を離れることへの抵抗感があったんですね。
同時に、私の経験から医療機器業界の仕事の魅力をより多くの人に伝えたいという、全く新しい想いも芽生えていたんです。
こうしたことがきっかけとなり、その想いが叶う公益財団法人医療機器センターに転職をしました。
現在は医療機器開発の最前線からは一歩離れ、裏方としてこの業界の発展に全力を注いでいます。例えば就職活動で考えても、他の業界に比べると認知度がまだまだ低いのが現状です。今後ますますの成長が期待される医療機器業界に多くの学生が興味を持ってくれるよう、さまざまな活動を通して情報を発信していきたいです。」
全3回にわたってお届けした医療機器業界の元設計者、相宮さんのインタビュー記事。
医療知識がない人でも活躍できるという、医療機器業界の裾野の広さやキャリアパスの可能性などを感じさせてくれるお話でした。
他の記事をまだ見ていない方は、ぜひ併せて読んでみてください。医療機器業界に興味を持っているあなたにとって、参考になれば幸いです
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