【職員インタビュー】
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)①
開発者への“挫折”で開けた「審査」という道。両親の影響とものづくりへの興味が医療機器業界に飛び込む原動力に。
厚生労働省所管の独立行政法人「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)」(※以下、PMDAと表記)。
医薬品・医療機器といった製品の承認審査等を行う機構として、医薬品・医療機器等の安全性確保や品質向上において重要な役割を担っています。
この記事では、PMDAに入社して6年目を迎える関護和さんに、医療機器業界に進んだ理由やPMDAの特徴を語っていただきました。
【今回お話を聞いた人】
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
医療機器品質管理・安全対策部 医療機器安全課
関 護和さん
工学系の大学院を卒業後、平成28年度に新卒でPMDAに入社。審査専門員として市販前の医療機器の承認審査に携わった後、現在は市販後の医療機器の安全対策に関する業務に取り組んでいる。
<Q1>就職で医療機器業界を選んだ理由は?
関さん「父親が医者で母親が看護師という家庭に育ち、子どもの頃から医療関係の仕事には漠然とした興味がありました。しかし、常に患者さんを優先に考え、夜中でも電話が鳴れば自宅から病院に向かう父を見ながら、多くの人から求められているその姿に憧れると同時に、医者という職業の大変さも理解していましたね。
医療業界が身近過ぎたが故に、将来の進路を考えたときに『医者』という選択肢は自分のなかになく、意識が向いたのが『医療機器の開発』に携わることでした。
物心ついたときからLEGOなどを組み立てて遊ぶことが好きで、ものづくりに関心があり、大学は工学部に進みました。自動車や家電にはあまり興味をもたず、バイオ系や医療系の研究をしている工学部を選んで入学し、将来は医療機器の開発に関わることを目指して研究に没頭しました。」
<Q2>PMDAに入社した理由は?
関さん「学生時代の研究活動のなかで、周囲の学生との関わりを通して自分を客観視する機会が多くありました。そこで、次第に『自分はあまり開発や研究に向いていないのではないか』と考えるようになっていったんです。優秀な学生は多くのアイデアを次々に生み出していましたが、私は発想力において少し遅れをとっていました。
しかしその一方で、誰かがつくったものを第三者の視点で評価したり、評価結果を多くの人に伝わるように文書化したりすることに面白さや適性を感じていました。
そこで就活の時期になり、医療機器が世に出ていくときに審査する組織はないのか調べ、初めてPMDAの存在を知ったのです。ここなら開発者の道に挫折した自分でも、適性を活かして裏方として医療機器業界に貢献できる、まさに天職かもしれないと考え、面接を経て入社に至りました。」
<Q3>PMDAの特徴は?
関さん「PMDAは医薬品や医療機器などによる『健康被害救済』『承認審査』『安全対策』の3つの役割を行う日本で唯一の公的機関です。
私が所属する医療機器の部門では、承認審査を年間で1,000件ほど行っています。また、既製品に関する不具合報告は年間で80,000件ほど入り、メーカーや病院と連携して安全対策を講じています。
厚生労働省所管の独立行政法人として、医療機器や医薬品などの安全と安心の向上に貢献する、非常に大きな責任を担う機構です。」
<Q4>医療機器業界に就職後、学生時代の経験で役立ったことは?
関さん「学生時代、私が所属していた研究室では再生医療に関する研究をしていました。生体の組織から細胞部分を除去して材料だけの状態にすることで、人への移植で拒絶反応が起こらないようにするといった研究内容でした。
工学部ではありましたが、生命科学の実験手法などを勉強する機会があったので、その経験はPMDAの承認審査や安全対策業務でさまざまな医療機器に接する際、医療に関する基本的な知識として自分のベースになっていると感じます。
仕事において、学生時代に学んだ領域がそのまま役立つことは少ないですが、何よりも『真剣に学んだ』という事実が自分の自信になっていると思います。PMDAではありとあらゆる医療機器を対象としているため、精度の高い審査や適切な安全対策を行うためには、医療機器のさまざまな原理や開発の歴史を学ばなければいけません。
学生の研究生活で身に染みこんだ、常に新しいことを勉強する気持ちや貪欲さは就職してからも自分のキャリアを後押ししています。」
目指した医療開発者を諦め、挫折を経験した関さんでしたが、自分の特性を冷静に見つめることで、「審査」という別の道を見つけることができました。
次回「【職員インタビュー】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)②」では、関さんのより具体的な仕事の内容や、仕事のやりがいに迫ります。お楽しみに!
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