スタートアップ企業が取り組む、AIを活用した医療機器! - Cubec 治療提案AIの社会実装編 -
こんにちは、医機なび事務局です!
AI医療機器協議会さんとのタイアップ記事、そして、『スタートアップ企業が取り組むAIを活用した医療機器!』の紹介シリーズ第5弾。
今回は株式会社Cubecの企業概要と取り扱うAI医療技術についてご紹介をいただきましたので、ぜひご覧いただければと思います。
はじめに
前回の記事では、「急激な医療革新の実現」をミッションに、AI医療機器および遠隔医療の社会実装を目指している「AMI株式会社」をご紹介しました。
五社目は「最善の医療を、すべての人の手の中に。」をミッションに、治療提案AIの社会実装を目指している「株式会社Cubec」(よみ:キューベック、以下、Cubec)の取り組みをご紹介します。
Cubecってどんな会社?
Cubecは、テクノロジーによってかかりつけ医に専門医レベルの判断を提供し、医療水準を飛躍的に高め、あらゆる患者に個別化医療を提供する「治療提案型AI」を開発しています。
創業者は、デザイン思考で医療機器のイノベーションを目指すCEO 奥井 伸輔(写真右)と、ヘルスケア領域のAI事業のエキスパートCAIO 新井田 信彦(写真左)です。二人は、バイオ医薬品のグローバル企業アッヴィで出会い、医師と連携することで”人々と最適な医療をつなぐ”ことを目指し、2023年2月にCubecを共同設立しました。
最初のサービスとして、心不全治療を提案する「治療提案AI」の開発を進めています。今後、プログラム医療機器(*1)として製品化・承認取得を目指し、2027年のサービス提供開始を目標としています。
*1 厚生労働省プログラム医療機器について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179749_00004.html
かかりつけ医の負担を「治療提案AI」で軽減したい
日本の医療は、高齢化による需要増加と労働人口減少・医師の働き方改革による供給減少により、需給バランスの崩壊に直面しています。医療崩壊を回避し、高品質な医療を持続的に提供するためには、医療機関の機能分化・シームレスな連携による効率化が求められています。
その中でも、かかりつけ医は全ての患者の初期接点として初期診療・慢性期管理を行い連携のハブを担います。特に患者数が多く、継続受診が必要な慢性疾患は、かかりつけ医の積極的関与が必要です。
慢性疾患における具体的なかかりつけ医の役割は、安定期の患者に対する生活指導や薬物療法の調整、状態の悪化を見逃さず、適切なタイミングでの専門医への紹介です。今後かかりつけ医に求められる役割は量・質ともに増大することが予想されます。
この社会課題とも言える問題に対して、Cubecはかかりつけ医が使う「次世代治療提案型AI」を開発することで立ち向かおうとしています。最初のターゲットとして、慢性疾患の中でも社会的に緊急性の高い”心不全”から開発をすることにしました。
次世代治療提案型AIとは
Cubecが開発している「次世代治療提案型AI」は、診療情報を元に治療選択肢を提示し医師の診療判断を支援する技術で、今後製品化・プログラム医療機器としての承認取得を目指しています。
医療現場では「診断支援AI」の開発と普及が進みつつあります。その多くは、検査・診断の段階を支援するものです。Cubecが開発する「次世代治療提案型AI」は、診断から治療立案までを支援する点で、これまでの診断支援AIから一歩進んだものと言えます。
AIの活用範囲は、次の3点になります。
1 個別のリスク判定
心不全の多様な病型と多数の要把握項目を統合し、状態を評価します。
2 個別の治療提案
評価した状態を踏まえ、多数ある治療選択肢から最適な組み合わせを提案します。
3 エビデンスの検索
かかりつけ医が意思決定するための関連情報を認められたエビデンスから提供します。
この3つの機能を提供することで、かかりつけ医の意思決定を支援し、負担を軽減することで、心不全の患者さんに最適な医療を提供することを目指しています。
バイオデザインの試み
Cubecのもう一つの特徴として、デザイン思考を用いて医療機器のイノベーションを牽引する「バイオデザイン」を取り入れている点があります。
バイオデザインは、2001年にスタンフォード大学のポール・ヨック博士らにより開発され、海外では実用化が増え始めている取り組みです。アボット社が開発した、針を刺さずに血糖値を計測できる製品もその一例で、日本でも実用化に向けたアプローチが広がりつつあります。
Cubecでは、かかりつけ医が何に困り、何があれば助けになるのか、具体的な解決の糸口を発見するために、バイオデザインの活用を試みています。デザイン思考を用いて医療現場を観察し、プロトタイプの確認と医師からのフィードバックを繰り返す中で、いくつかの真の課題を発見し、プロダクト開発に活かしています。
医師を支援する新しいデジタルツールが数多く開発されても、実際の医療現場で普及するものはほんの一握りです。いかに、医師の負担を減らし、使いやすい設計にするか。新しいツールが浸透するには、使う人の立場に立った設計が不可欠なのです。
トップランナーが集う共同体
私たちは複数の研究機関・病院と連携し、医療AI・臨床試験・薬事・保険のトップランナーと共同で取り組みを進めています。Cubecは本事業の中で、開発・実用化・普及を担当しています。
また、日本医療研究開発機構(AMED)における、医工連携・人工知能実装研究事業「日本全地域で心不全診療連携を最適化するAI実装DtoDシステムの開発と実用化」(*2)で採択もされています。
*2 医工連携・人工知能実装研究事業「日本全地域で心不全診療連携を最適化するAI実装DtoDシステムの開発と実用化」の採択について
https://www.amed.go.jp/koubo/14/02/1402C_00012.html
Cubecのチーム体制
2023年に資金調達を実施し、現在は2027年の上市を目指して順調に開発を進めています。組織体制は、創業者2名に加え、データサイエンス研究開発、UXUIデザイナー、事業開発など、多くのメンバーが続々と参画しています。
今後は、心不全治療を提案する「治療提案AI」を開発しつつ、かかりつけ医が診療する他の慢性疾患への拡張や、海外での展開も視野に、事業を加速していきます。
そのために、Cubecの組織体制もより強化していきます。私たちが大切にする価値観は次の4つです。
大切にする4つの価値観
1 ミッションに立ち返る
2 常に実験する
3 まず他者を理解する
4 個のハッピーとCubecの価値創造を重ねる
おわりに
いかがでしたでしょうか?
多くの患者さんと医療の接点は、「かかりつけ医」です。
そのかかりつけ医をAIで支援し、最善の医療を、すべての人の手の中に届けたい。
このCubecのビジョンを実現するために、これからもチーム一丸となって日々取り組んでまいります。インターンも活躍しているので、興味のある方はCubecの企業サイトから問い合わせていただければと思います。
次回の記事では、ライフサイエンス領域の画像解析に強みを持ち、医療・製薬・農業分野において画像解析技術、とりわけ人工知能技術を応用することで、高精度のソフトウエアを開発している「エルピクセル株式会社」の取り組みをご紹介します。
お楽しみに!
株式会社Cubec(キューベック)
企業サイト:https://cubec.jp
Cubec Tech Blog:https://note.com/cubec/m/m0c8457aa789b
※こちらの記事は『AI医療機器協議会』協賛の記事です。
もっとAI医療機器協議会について知りたい!という方はこちらをご覧ください。