スタートアップ企業が取り組む、AIを活用した医療機器! - エルピクセル AIを活用した画像解析ソリューション編 -

スタートアップ企業が取り組む、AIを活用した医療機器! - エルピクセル AIを活用した画像解析ソリューション編 -

こんにちは、医機なび事務局です!

 

AI医療機器協議会さんとのタイアップ記事、そして、『スタートアップ企業が取り組むAIを活用した医療機器!』の紹介シリーズ第6弾。

 

今回はエルピクセル株式会社の企業概要と取り扱うAI医療技術についてご紹介をいただきましたので、ぜひご覧いただければと思います。

はじめに

前回の記事では、「急激な医療革新の実現」をミッションに、AI医療機器および遠隔医療の社会実装を目指している「株式会社Cubec」をご紹介しました。

 

六社目は「生命を探求し、新しい価値を創造する。」をミッションに、医療、創薬を中心としたライフサイエンス領域においてAIを活用した画像解析ソリューションを提供している「エルピクセル株式会社」(以下、エルピクセル)の取り組みをご紹介します。

エルピクセルってどんな会社?

エルピクセル株式会社は、2014年に東京大学大学院のバイオイメージング(※細胞など生体組織の画像を解析する技術)を専門とする研究室メンバーが立ち上げた会社です。

 

私たちは「生命を探求し、新しい価値を創造する。」をミッションに掲げ、医療、創薬を中心としたライフサイエンス領域においてAIを活用した画像解析ソリューションを提供しています。

 

特に、医療分野では、医療画像からがんなどの病変が疑われる箇所を検出することで医師の診断を支援するAIソフトウェアを提供しています。

 

これまで頭部・胸部・大腸の3つの領域9製品について、実際の医療現場で活用されるために必要な医療機器製造販売承認・認証を取得し「EIRL」シリーズとして販売しています。

 

2024年6月には大学病院から診療所まで47都道府県全てに導入され、累計導入施設数は800施設(トライアル含む)、解析件数は640万件を突破するなど、日本における「医療AI」をリードしています。

医療AIの開発背景

日本では定期健康診断や人間ドックが頻繁に行われることから、医療画像の数が多い画像大国です。

 

一方、放射線科医の総数は他国と比較して少なく、潜在的業務量は他国の 2.78〜4.17倍となっています。

 

都道府県間の地域差も大きく、特に離島や過疎地域では熟練医の不足や医師の高齢化が進んでおり、医師不足と負担軽減は喫緊の課題です。

 

このような医師不足が背景となり、画像診断における病変の見落としは社会課題となっています。

 

実際に画像診断の見逃しは毎年のように報告されており、死に至った例も含まれています。

 

さらに、2024年4月からは医師の働き方改革により時間外労働時間に上限が設けられたことから、「医療の質」を維持・向上するだけでなく、同時に「医療の効率化」を達成しなければなりません。

 

 

こうした社会課題の解決のため、私たちは画像診断支援AIを開発し、医師の読影診断の負担軽減と見落とし防止に貢献しています。

 

例えば、大規模な健康診断施設では繁忙期には1日の胸部X線撮影数が2000枚を超える数になります。時間あたりの膨大な画像診断を行う医師の疲れによる見落とし対策として、画像診断支援AIが活用されています。

 

また、これまで複数の医師によるダブルチェック、トリプルチェックが行われていた診断フローの一部をAIが代替・サポートすることで効率化を図る事例もあります。

 

参考:CTおよびMRI検査における放射線科医の潜在的業務量の国別および日本の地域別の差異 (Japanese Journal of Radiology, 2018)

EIRLシリーズについて

医療画像診断支援AI「EIRL(エイル)」は、胸部X線、CT、脳MRI、大腸内視鏡画像から病変や画像所見の検出を支援することで、医師の診断をサポートするソフトウェアシリーズです。

 

シリーズ最初の製品は、2019年10月に発売した、脳MRIから脳動脈瘤の候補点を検出するソフトウェア(EIRL Brain Aneurysm)です。

 

脳動脈瘤は破裂することで「くも膜下出血」の要因となりますが、「脳ドック」で未破裂脳動脈瘤を事前に見つけることで適切な治療に繋げることができます。

 

しかし、脳ドックの検査画像は、読影しなければならない枚数が非常に多いため、疲れによる見落としや、小さな脳動脈瘤の検出が困難であることが指摘されています。

 

 

そこで、医師が読影する際に「答え合わせ」として、EIRLによる解析結果も併せて参照することで医師の診断をサポートします。

 

医師単独で読影した場合の感度68.2%と比べ、EIRL Brain Aneurysmを用いて読影した場合は感度77.2%となり、診断精度の向上が認められています。 ※感度 一般的に疾患や所見を正しく検出する能力を指す

 

2019年当時は、画像診断支援AIの国内での製品化事例が殆どない中、従来の画像処理技術ではなく、深層学習を用いて病変検出を支援するプログラム医療機器を先駆的に開発し、薬事承認を取得して製品化を実現しました。

 

その後も対象領域を拡大し、現在(2024年9月)までに頭部(MRI、CT)・胸部(X線、CT)・大腸(内視鏡)の3領域で9品目の医療機器製造販売承認・認証を取得し販売しています。

 

導入いただいた医療機関からは、「EIRLが見逃してはいけない症例を拾ってくれた実感がある」や、「一つ一つ見るときに疲れてくると見逃してしまう可能性があるが、サポートしてもらえて有難い」といった声が上がっています。

 

▲EIRLによる肺がんが疑われる肺結節候補域の検出例(製品:EIRL Chest Screening) 実際に医師が見落とした胸部X線画像における肺結節についてEIRLが検出している事例である。

 

これまで日本における医療AI市場創出の一翼を担ってきましたが、より包括的な医師のサポートを目指して、自社だけでなくパートナーとなる各社を巻き込みながら、対象領域・疾患の拡大につとめてまいります。

 

また、日本国内だけでなくグローバル展開を目指し、医療AIのさらなる社会実装を推進してまいります。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

 

医療、創薬を中心としたライフサイエンス領域において、AIを活用した画像解析ソリューションを提供しているエルピクセル株式会社のご紹介でした。

 

医療画像の数が多い、画像大国であると言われている日本。

 

それにより医師の負担増や見落としなどに繋がっている課題があり、解決するためにAI技術が活用されていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

今後も様々なところにAI技術が活用され、医療の発展や医療従事者の業務負担の軽減などに繋がっていくと思われます。

 

 

エルピクセル株式会社

企業サイト:https://lpixel.net/

 

※こちらの記事は『AI医療機器協議会』協賛の記事です。

もっとAI医療機器協議会について知りたい!という方はこちらをご覧ください。

https://aimd.jp

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